
《宣戦布告》~渋谷大人化大作戦、ついに始動~
『子どもは渋谷から去れ!渋谷を大人の手に取り戻せ!』
“大人の渋谷”解放戦線大本営 作戦本部本部長 西川りゅうじん
その昔、渋谷は大人の聖地だった。美人画で有名な竹久夢二ら文化人が集い、ジャズが通りに流れ、大人の男女が昼夜を問わずお洒落してキネマに観劇にダンスに興じていた。東大の上野博士が亡くなったのを知らず、11年間も駅前で博士の帰りを来る日も来る日も待ち続けた忠犬ハチ公にちなんで銅像が建てられたのは昭和9年のことだった。
そして、戦後の動乱期を経て、高度成長期を迎え、日本が豊かになり、デパートが立ち並んで若者が来るようになっても、渋谷は大人の街であり、子どもに占拠されるようなことはなかった。若者たちは大人に憧れ背伸びして渋谷に来ていた。
それが、大人が寛容な態度で若者を受け入れ続けていると、気が付けば、渋谷は街ごと子どもにジャックされてしまっていた。そこに追い討ちをかけるようにバブルが崩壊。大人は自信もパワーも喪失してさらに足が遠のき、渋谷は完全に子どもの街と化した。難攻不落と言われた大人の聖地、渋谷は、子どもの侵略に脆くも陥落したのだった。
もはや今の渋谷は、「若者に非ずんば人に非ず」といった状況である。「ハタチを過ぎると他界した」とまで言われる年令差別主義が蔓延し、大人が一歩足を踏み入れると耐え難い差別が待っている。人の気も知らず、大人はオバサン、オジサンよばわりされ、時には突如として、ジジイ、ババアなどと侮蔑的言辞をもって罵られる。
また、この10年以上にもわたって、子ども系のカジュアルファッションが主流であり続けたため、スーツやジャケット、ドレスなど大人系ファッションは蛇蝎のごとく忌み嫌われ、そういう服装でセンター街辺りを歩こうものなら、チーマー達に“オヤジ狩り”“ババア狩り”に合うという痛ましい事態にまで発展してしまうことさえあった。子どもによる大人に対する度重なる迫害の末に、罪もない数多くの大人たちが渋谷に行きたくとも、精神的に門前払いを食らわされていた。
子どもはもうたくさんだ。渋谷は、歴史的、文化的、社会的、学術的に考察しても、明らかに大人の街である。誰が何と言っても、渋谷は大人固有の領土だ。一刻の猶予もない。このままでは渋谷から大人が絶滅してしまう。いつまでも子どもに大人の聖地、渋谷を蹂躙されるのを許していてはならない。我らが渋谷を大人の手に奪還する時が来たのだ。
全国の大人よ、立ち上がれ!OLよ、ビジネスマンよ、主婦よ、社長よ、先生よ、今こそ大人は渋谷を目指せ!聖地、渋谷を大人に解放する聖戦に参加されたし。貴殿も貴女も、各々方、いざ、渋谷へ!
シュピレヒコール!「渋谷は大人のものだ。子どもは渋谷から即刻立ち去れ!渋谷の街を大人の手に取り戻すのだ!」
《子どもの渋谷、陥落の日は近い》
渋谷が子どもに席巻されて来た期間は、日本経済の停滞と機を一にしている。つまり、渋谷の大人度は日本の元気のバロメーターであり、日本が元気を取り戻せば、大人が元気になり、渋谷も大人の手に戻って来るのだ。最近、やっと日本経済にも薄明かりが見えて来たが、それに歩調を合わせて、渋谷戦線において、大人が優勢になり出して来た。
一時期は大人の専有地域であった松濤(しょうとう)や青山方面にまで子どもが一部占拠する事態にまで陥っていた。しかし、昨今は大人が盛り返し、丸井、PARCO、東急、西武といった百貨店の大人系ファッションのショップやレストランも勢い付いて来ているし、長らくコギャルの牙城だった「109」(通称マルキュウ)も、大人系にシフトしつつある。また、2004年7月、今までは大人系の街にしか出店したことのなかったIDEEのプロデュースによる、「NAVI shibuya」がオープンし、大人系が一気に攻勢に出て来ている。私も様々な機会で渋谷の大人化をレポートして来た。

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※週刊宝島 2003年7月9日号 「西川りゅうじんのビジネス巌流島」より
女を見れば世の中がわかる。女の新たな動きの中にビジネスシーズをつかめ!
『最新女性トレンド』は次代の商機
ユダヤの商法でも「女を狙え!」と説くようにいつの時代も女は消費経済の主役だ。
経済学者マルサスも「人口論」で「平時には女性が消費のリーダーシップを握る」と分析している。男が女より人口が多くなり女が主導権を握るからだ。街と仕事の女のNEWWAVEを追う。
『渋C』(渋谷シック)に注目!
渋谷がお姉様系の街に大変身?
渋谷は今も昔も若い女性のトレンド発信地だが、90年代に一斉を風靡した、ガングロ、ヤマンバ、汚ギャルといった、いわゆるコギャルも、21世紀に入って絶滅の危機に瀕している。代わって台頭して来ているのが「オネエ系」(お姉様系)の女性だ。彼女達ご用達のショップやレストランも続々とオープンし、渋谷の街に『渋C』(渋谷CHIC)と呼ばれる新たなムーブメントが起こっている。
コギャルの牙城だった「109」(通称マルキュウ)も、一部ではまだガングロ・シーラカンスの棲息が認められるが、6月14日に地下2階をオトナ系、キレイ系に大リニューアルするなど、急速に店舗構成やMD(マーチャンダイジング)を、『渋C』(渋谷シック)仕様にシフトさせている。オトナの女を目指す女性のための、セクシーかつ上品さを失わないシックなアイテムをそろえたショップが集結しつつある。ここでオトナに変身して、歳を聞くと「ええっ!そんなに若いの?」と声をあげてしまう年令不詳ギャルが増殖しそうで怖い。
渋谷のCと言えば、アメリカン・アクセサリーの「COACH」も旗艦店を開店した。欧米ブランドのフラッグシップ・ショップは銀座や表参道に多いが、渋谷の女性の変化に気付いた目先の利企業は、今後も次々と店を構えることだろう。
レストランもシックな店が増えている。昨年末オープンした「LEGATO」はその代表格。
誰しもが「今日はちょっとオシャレしてみようかしら」と思ってしまう雰囲気だ。しかし、価格は渋谷系価格で、土日も深夜早朝まで営業しており、サービスも肩の凝らない渋谷対応なのがいい。ランブリング・ストリートのクラブに週末集まる女性の服装も徐々にディスコティックの時代に戻りつつある。
渋谷の女性のDNAも、遺伝子と同様、螺旋階段状に進化を遂げている。